ビジネス教養としての半導体(高乗正行)
- 半導体とはもともと、電気を通す導体と電気を通さない絶縁体の中間的な性質をもつ物質を意味します。
- 半導体の一つであるシリコンなどを材料にして作られたトランジスタのほか、トランジスタやコンデンサ(電気を蓄える電子部品)、抵抗器(電流の流れを妨げる部品)などをまとめることで機能をもたせた集積回路(IC)、LED(発光ダイオード)やセンサのようなIC以外の機能をもった部品や素子(電気回路の構成要素)を慣例的に「半導体」と呼んでいるのです。
- ビジネスにおいて半導体を語る際には、それが半導体の材料を意味しているのか、トランジスタやIC、センサのような機能をもった素子やデバイスを意味しているのかを整理しておく必要があります。
- デジタル半導体・・・データの演算処理やデータの記憶を行う半導体。人間でいうところの「頭脳」や「記憶」のような働きをもつ。メモリ、ロジック、マイクロなど
- アナログ半導体・・・時間軸上で連続的に変化する電気信号のまま処理、制御する半導体のこと
- センサ・・・現実世界の物理量や化学量を検知し、電気信号に変換して出力する。人間でいう「五感」の機能を果たし、温度・圧力・加速度などを測定するセンサがある。
- パワー半導体・・・「集積回路(IC)」ではなく「ディスクリート(個別半導体)」に分類され、取り扱える電力(電流と電圧)が比較的大きい半導体のこと
- 設計工程・・・回路設計、パターン(レイアウト)設計、フォトマスク作成の3つに分かれる
- 前工程・・・シリコンウェーハ―製造から始まります。・・・成膜、露光・パターン転写、エッチングという3つプロセスを繰り返しながら半導体回路を作りこみます。
- 後工程・・・設計工程で内部の回路を設計し、前工程で半導体の回路そのものを作り上げ、後工程で半導体として使用できる形に組み立てているのです。
- 垂直統合型と水扁分業型
- 水平分業において設計専門の会社を「ファブレス企業」。前工程を担う製造専門の企業を「ファウンドリ企業」、後工程を担う会社を「OSAT(outsourced semiconductor assembly and test)といいます。
- 現在、半導体市場は・・・およそ72兆円にものぼります。・・・今もなお1年で10%近い成長を続けています。2022年現在、これほど大きな売上にもかかわらず、10%を超える成長を果たしている市場はほかにはありません。
- 半導体はあらゆるものに使われています。電気で動くものには基本的に半導体が使われている・・・今後半導体需要を伸ばしていくキーポイントは、この「あらゆるものに使われている」という部分
- 自動運転の実現・・・今まではパソコンやスマートフォン・・・今後は自動車がその立場
- 半導体の製造に求められる技術が高度で設備が高額になる
- 半導体そのものも、半導体の製造技術もまだ発達の途中にある
- 2022年現在、日本が半導体に関わる分野で世界の最先端を走っているものは残念ながらありません。さらに日本のIT人材のレベルは世界に比べて低いという結果