2021年度版医療福祉総合ガイドブック(NPO法人日本医療ソーシャルワーク研究会)

  • 社会問題、生活問題に対し、国が責任を果たすものが社会保障制度
  • 1950年社会保障制度審議会社会保障制度に関する勧告」:社会保障制度とは「疾病、負傷、分娩、廃疾、死亡、老齢、失業、多子その他困窮の原因に対し、保険的方法又は直接公の負担において経済保障の途を講じ、生活困窮に陥った者に対しては、国家扶助によって最低限度の生活を保障するとともに、公衆衛生及び社会福祉の向上を図り、もってすべての国民が文化的社会の成員たるに値する生活を営むことができるようにすること」
  • 1995年同審議会「社会保障体制の再構築(勧告)ー安心して暮らせる21世紀の社会をめざして」:「国民の自立と社会連帯」という新しい理念
  • 近年、この「95年勧告」の「自立と連帯」の名の下、国が責任を持つ社会保障制度から自助や共助を強調する「福祉社会」へと稀少化されてきています。
  • 社会保障制度は、社会保険を中心に、社会扶助、社会福祉、医療および公衆衛生という4つの柱・・・社会保障制度には含まれませんが、国民の生活を保障する制度としては、雇用対策や公営住宅制度等があります。
  • 一般会計歳出の構成(2020年度):社会保障35兆円(35%)→年金(38%)、医療(37%)、福祉(13%)、介護(10%)、雇用(0.1%)
  • 申請主義の原則
  • 生活が「苦しい」と感じている人・・・全世帯で54.4%(2019年)・・・高齢者世帯では51.7%・・・児童のいる世帯では60.4%・・・その「悩みや不安」は、「老後の生活設計」や「自分・家族の健康」「今後の収入・資産の見通し」
  • 職業生活においてストレスなどになる原因の第一位は、「職場の人間関係の問題」
  • 国は、日本社会の高齢化を見据え、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができるよう、地域の支援・サービス提供体制「地域包括ケアシステム」の構築を提唱
  • 市町村が、子ども・子育て、生活困窮者自立支援、介護保険障害福祉等の分野や対象者を超えた一体の支援事業として「重層的支援体制」を整備するとしています。
  • 地域における人間関係、助け合いが希薄になるにつて、支援を必要とする人が社会的にますます孤立する状況・・・公的な支援機関が分野を超えて「丸ごと」、地域が「我が事」として、支え合う必要性が大きくなっています。しかし、「地域共生社会」構想が、公助・共助・自助の役割を壊して社会保障を後退させ、地域に肩代わりさせるものではないことをまずは明らかにしてほしいものです。